札所17番・定林寺(じょうりんじ)
16番から17番までは1.3 km。約20分弱。この日はけっこう暑かったので、お腹の減り具合も早かったような気がした。16番まで我慢したのは、お気に入りの「ぼんち食堂」に行きたかったからだ。巡礼古道の途中にあり、バラエティ豊かな料理がある。なんかお手伝いしたくなるような、おじいちゃんとおばあちゃんがやっているお店だ。はっきり言って料理は並みだけどおばあちゃんが運んできてくれる料理は田舎の味で秩父出身の僕にはぴったりだ。16番の近くにはおいしそうなお蕎麦屋さんがあり、お昼時は待っている人がいるほど人気のようだが、ひなびたぼんち食堂のかつ丼が食べたかった。
しかし!
この日はお休みでした。お店のドアには「しばらく休業させていただきます」の文字。おじいちゃんかおばあちゃんに何かあったのかもしれないと、やや不安。こうした田舎食堂はなかなか見つけられなくなってきているので、このままであってほしいと思う。
ここがだめだと近くに食べるところは見当たらない。とりあえず17番に向かう。
いきなりの細い巡礼古道となる。
気を付けていないと見失うような道。しかしこの道はそれほど距離はない。あっという間に市街地に戻る。で、ちょうどあったお寿司屋さんにはいって、お刺身丼定食を食べた。秩父は山に囲まれているのであまり魚には期待できないが、とてもおいしかった。さらに魚以上においしかったのが、ご飯だった。炊き立てだったのかもしれないが、味わい深いお米が秩父のおいしい水でていねいに準備されていた。夏休み中だったので、たぶんのお店の子供さんだと思うが、僕のとなりのテーブルで姉妹で夏休みの宿題と思われる絵を描いていた。時々僕のほうをチラ見してくるところがかわいい。たぶん外にでて遊びたいので絵を描くことに集中できないのだろう。
17番はアニメ「あの花の名前・・・」にもでてきたお寺で、聖地めぐりの若者がよくやってくる場所だ。彼らはほかのお寺さんのは興味をしめさず、17番周辺に滞在している。お寺でもアニメ絵馬が販売されていて、20代くらいのファンには人気のようだ。このアニメは見たことがないので分からないが、聖地めぐり自体は中々な味わいのある行動だと思っている。旅行は目的がないとつまらない。僕は宮本輝の小説をよく読んでいたころ、小説の舞台となった場所にいくのが好きで、主人公に会えるかのような気になりワクワクしていたのを覚えている。とても身近な旅行の楽しみ方だと思う。何気ない風景に意味がでてくるのだ。
もうすっかり慣れた般若心経を読んで、17番の御朱印をいただく。
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