札所24番・法泉寺(ほうせんじ)
23番から24番までは3.5 km。だんだん距離が長くなってくる。おまけに山道でアップダウンもでてくるので予想以上に時間がかかる。昔の巡礼道というかんじがする。しかし急いではいけない。足音を聞きながら、前に進むことだけを考えることが巡礼の醍醐味だ。以前も書いたが歩く座禅みたいなものだから、過去も未来も考えない。歩くから一定のテンポで呼吸がリズミカルになる。そうなると距離も時間もあまり執着することではない。
本当は写真なんか撮らないで一心不乱に歩くのもよいのだが、この日は天気がよく景色もこの時期としては最高だった。4月から5月の桜から新緑の頃がもっとも美しいと思うが、そんなに都合よく来られるものでもない。
西武秩父駅から荒川を挟んで対岸の長尾根はその名前の通り長い尾根となっており、ちょっと高台にでると秩父の市街やその向こうの武甲山が見える。盆地なので秩父連山に囲まれていることがよく分かる。昔はこの盆地が嫌いで狭い空間の中に閉じ込められているような気がして、広い空を求めて東京に行きたいと思っていたが、東京はビルが多く空は少しも大きくなかった。海に行くとこれほどまでに空が大きいのかと実感できた。だから20代のころは海や長野の千曲川沿いのような景色の広い場所が好きだった。
いま年を経て秩父をみると箱庭のように見え、山が近く美しい街だ。巡礼道は長尾根を縫う細い道に変わってきた。特に長い距離というわけではないが、山道を歩くほうが巡礼っぽくてよい。
24番の手前くらいから住宅街になっていて、坂をぐっと登っていく。またも汗だくになってしまいジャケットがいらなくなる。2月のわりにはずいぶんと暖かい。本堂は長尾根の中腹にあるので、アスファルトの県道のほうから上るとかなり長い石段を上る。巡礼道は住宅街からの坂を上ると本堂の横にでる。
本堂で般若心経を結構しっかり声を出して唱える。この時期なので誰も境内にはいない。納経した後、口の病に効能有とされる竹の楊枝を購入する。
この日は24番が終わったところでまだ2時10分。25番まで3km弱なので十分行ける時間なのだが、次回25番からスタートして荒川を歩いて超えていきたいという気持ちになり、ここで終了とする。
石段を下りたところのコーヒー屋さんで一杯コーヒー飲んで、24番前のバス停から2時39分のバスに乗って西武秩父駅に戻る。3時8分の電車に乗って、5時過ぎに自宅に戻る。
夕方に家に戻れると次の日の準備が十分にできるので有難い。
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