札所32番・法性寺(ほうしょうじ)
31番から32番は歩くとたぶん3時間弱かかると思うので、夕方東京に戻ることを考えると大日峠の手前までバスで行き、そこから約1時間の峠越えを楽しむ。峠なのでばっちり山道で小川も越える。これぞ巡礼という道。きちんとしたトレッキングシューズが望ましいところになる。
12時26分の栗尾発のバスに乗り、約10分ほどで小鹿野警察署前に到着。バスを降りた道をそのままバスと同じ進行方向に歩き、「巡礼道」のサインで右折する。のどかな住宅地を進み、橋を渡るとそこはもう山の中だ。
最初は舗装された道で歩きやすい。しばらく軽い登りが続いたあと左手に巡礼道のサインがあり、そこから山道になる。この辺りにはいくつか家は見えるが付近には誰もいない。山から転げ落ちたら結構なケガになりそうだ。1時間ほどの峠道で登山届をだすのもなんとなく気が引ける。というかここに登山届を出す場所はない。しかし携帯の電波はまだ使えるので、何かあったら携帯に頼ることになるだろう。体調が悪いときはこの道はやめたほうがよさそうだ。
アップダウンはけっこうあるが、凄まじく歩きにくい場所はない。行く手にはピンクのリボンがあるので道に迷うこともない。聞こえるのは小川の流れと自分の呼吸のみ。何も考えずただ歩くのみ。15分ほどで体が熱くなり汗がでてくる。すでに31番の階段で一度汗だくになった体が再度汗まみれになる。一応寒い時期なのでジャケットや厚手のパンツなのだが、強烈に暑いので、少しズボンをおろして両手で腰のあたりを持ちながら歩く。ズボンのチャックもあけて風をいれる。涼しいけど、もし他の巡礼者に見られたら明らかに変なおやじと見えるだろう。2月のこの日はかなり暖かく、汗冷えが心配になった。
1時間弱でまた舗装された道にでる。32番へはそこから約10分弱。大日峠にはいってからは他の巡礼者を見かけることなく一人でただ歩いた。2月なのでヘビや熊に出会うわけもなく、心配なく歩けるのは快適な巡礼のためには大事なことだ。
32番は31番ほどではないが、長い階段を上がったところに本堂がある。本堂の奥には観音堂があり、古びた木造建築の中はなかなか興味深い。そして険しい山道の奥には奥の院があるようだが、ここにはまだいったことがない。
観音堂から見える景色も美しく、おそらく紅葉の季節だと最高だろうと思いつつ、汗だくの体を休ませる。バスの時間さえなければもう少しゆっくりしたいとことだったが、本堂で般若心経を小声で唱え、お参りを済ませ、ご朱印をいただく。ご住職に伺うと一番近い松井田のバス停までは小1時間ほどとのこと。すでに午後2時近かったので、松井田発午後3時17分のバスを目指すことにした。
30番を過ぎると、お寺さんは公共交通期間を使用してもかなりの距離を歩くことになるが、厳しくも美しい自然と、のどかな景色の中を歩くのは貴重な時間だ。バス停までの道もまた楽しいものであった。
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